名探偵
こんにちは

今回紹介するのはこちら。どーん。

「名探偵に薔薇を」/城平京
創元推理文庫から出てます。第8回鮎川哲也賞の最終候補作。
ちなみにこの第8回鮎川哲也賞、選考委員が有栖川有栖、綾辻行人、島田荘司という超豪華新本格ミステリ巨匠メンバー。
城平京といえば漫画原作で有名ですね。「絶園のテンペスト」とか。
こちら「名探偵に薔薇を」は二部構成となってます。
第一部は「メルヘン小人地獄」
第二部は「毒杯パズル」
ではそれぞれのあらすじ紹介といきましょう

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第一部「メルヘン小人地獄」
始まりはマスコミ各社に「メルヘン小人地獄」という一遍の童謡が送りつけられたことだった。
それは小人を材料にして”完全犯罪を可能にする完璧な毒”を完成させたある博士に小人たちが復讐するためにハンナ、ニコラス、フローラの3人が生贄として殺され、小人たちが無事に復讐を遂げて幸せに暮らしました、という内容のものだった。
やがてある女性の遺体が発見される。被害者は藤田恵子。
この物語の語り手的存在である三橋荘一郎が家庭教師をしている少女・藤田鈴花の母であった。
恵子の遺体は血まみれで逆さに吊られた状態であり、回りには無数の小人がつけたような小さい足跡が残されていた。
現場には「ハンナはつるそう」の文字が。まさにこれは童謡「メルヘン小人地獄」をなぞったような状況であった。…
そして再びある変死体が発見される。国見敏夫という無職の男であった。現場には「ニコラスは煮よう」の血文字が残されていた。…
「メルヘン小人地獄」をなぞるように行われた二つの殺人の関係は?
”完璧な毒”、「小人地獄」は実在した?
一番目に被害者である恵子と「メルヘン小人地獄」の隠された関係とは?
三橋は友人である名探偵・瀬川みゆきに解決を依頼する―――
第二部「毒杯パズル」
「メルヘン小人地獄」の事件から約2年が経過した。
事件はお茶の時間に起きる。三橋はいつものように藤田家で藤田一家やその関係者とともに紅茶を飲んでいた。
最初にカップに口をつけた鈴花の家庭教師(三橋の後任)である山中冬美が倒れ、死亡した。服毒死であった。
さらに他のカップすべてから、致死量を超えた大量の毒が検出される。
なんと使われた毒は「小人地獄」であるという。
しかし”完璧な毒”である「小人地獄」には特徴があり、致死量を上回る量を口にいれれば苦味を感じ、その場で吐き出せば死ぬことはないのだ。
冬美はある理由のため苦味に気づくことなく死んでしまったが、なぜ犯人はこのような「小人地獄」の使い方をしたのか?誰にも感づかれずに使う方法はいくらでもあったのに…
再び登場する名探偵・瀬川みゆき。彼女は真相を解明することはできるのか?
待ち受ける真実と瀬川の過去とは?
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めちゃくちゃ面白いです。第一部の「メルヘン小人地獄」の不気味さや見立て殺人の残忍さが事件の異様さを際立たせる。
徐々に明らかになる真相が見え隠れしつつもなかなかたどりつけず、ラストの解決は鮮やかです。
また、この、二部構成が巧い。第二部での真相の解決とその驚きと同時に、第一部で解決を依頼された瀬川みゆきという探偵像にせまっていくのですがなかなかに暗く切ないです。
ぜひぜひ読んでみてくださいな

それでは今日はこのへんで。
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