どんでんがえし
こんにちは!

毎日毎日蒸し暑いですね…!
食欲も減退してなんだか冷たいものやのどごしのいいものばかり好んで食べてしまう今日この頃ですが



さて、本日紹介する小説はこちらです。

「自薦 THE どんでん返し」(双葉文庫)
執筆陣はこちら→綾辻行人、有栖川有栖、西澤保彦、貫井徳郎、法月綸太郎、東川篤哉
超豪華執筆陣です


この本格推理の巨匠である六人の作家たちが自作から「どんでん返し」のある作品を選んだアンソロジーとなっています。
それではひとつずつあらすじを紹介します.゚+.(・∀・)゚+.
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「再生」/綾辻行人
なんと妻の首を切断し、夫はそこから再び首が生えるのを待っている――そんなすさまじいシーンから物語は始まる。
語り手はある大学の助教授。彼は鬱病気味で病院に通っていた。
そこで彼は咲谷由伊という女性と出会う。彼は17歳年下の由伊と付き合い始め、やがて結婚を申し込むのだが、彼女には「誰にも言えない秘密」があって――
どう冒頭のシーンにつながるのか?由伊の「告白」の真相とは?そして衝撃のラストシーンが待っています…!
これはたしか綾辻行人の著作である「眼球綺譚」に収録されていたはずです。著者の作品にはこの「咲谷由伊」という女性がたびたび出てきますね。
なんとも「らしい」というか、グロテスクでホラー、暗く妖しい雰囲気が物語に効果を与えています。
「どんでん返し」で「あっと驚く」というよりは「息をのむ」、というような感覚。面白いです。
「書く機械」/有栖川有栖
将来期待される才能はあるものの、”いま一歩”のところで止まってしまっている作家・益子紳二。語り手はその編集者。
ある日編集者と益子は、編集者の上司と共に飲みにいく。
益子に期待をかけるその上司の語りはだんだん熱っぽく、狂気のようなものを帯びてくる。益子はそのまま会社に連れていかれ、地下室に案内されるが…そこで彼が見たものとは?
登場人物の心情の変化がじわじわと感じ取れて物語に引き込まれます。「作家小説」(幻冬舎文庫)の収録作です。
この作品ミステリというわけではないですが注目のラストの「どんでん返し」、というより益子の行く果てですね。
彼が最後どうなるのか?はたしかに予想できなかったかも…。
「アリバイ・ジ・アンビバレンス」/西澤保彦
語り手は憶頼陽一。彼は同級生の刀根館淳子が同じく同級生の高築を殺害したことを知る。
でもそれはおかしい。なぜなら犯行時刻、憶頼は淳子を犯行現場とは全く別の場所で偶然見かけていて、彼女には立派なアリバイがあるのだから――
憶頼は刑事の叔父を持つクラスの委員長・弓納琴美とともに「なぜ彼女は殺害を自白したのか?」について考え始める。
思わずうまい!と唸りたくなる作品

キャラクターが強烈でエンターテイメン性に富んでいて、憶頼と琴美がやりとりの中で論理を展開させていくさまはかなり面白い。
謎の答えによってタイトルである「アリバイ・ジ・アンビバレンス」、その意味が映えます。
「パズラー 謎と論理のエンタテイメント」(集英社文庫)収録作。
「蝶番の問題」/貫井徳郎
容姿端麗頭脳明晰(しかし性格に問題あり)な小説家・吉祥院慶彦のシリーズ。後輩である刑事・桂島は吉祥院のもとにある事件の話をしにやってくる。
なんでも奥多摩で5人の変死体が見つかったが、いずれも身元不明。さらには遺体の状況から「四人は他殺でひとりは自殺」ということが言えるが、どれが他殺体なのかは現時点での判別が難しいという。
被害者の一人である女性が手記を残しており、そこから事件の真相を探り始めるが…。
吉祥院先輩と桂島のやりとりが面白くて、「ミステリにでてくる手記は読みづらい」なんてよく言われますが結構読みやすく、純粋な犯人当て作品と言えます。伏線の張り方がうまいです…犯人当てに挑戦してみるのも面白いかと思います

この作品、何度も驚かされます。まさに「どんでん返し」!です

「カニバリズム小論」/法月綸太郎
自由で気ままな生活を送っている語り手・「私」のもとに小説家であり名探偵といわれている法月綸太郎が訪れます。
法月の学生時代の同級生・大久保が殺人の罪で捕まったのだが、彼はなんと殺した女を料理して食べたという。
大久保はなぜそんなことをしたのか?
法月は「私」の意見を聞きたいという。「私」と法月は世界各国の食人文化や歴史、犯罪における食人について論じながら大久保の行動について考え始めるが…
勘のいい人は途中でラストの真相に気づくかもしれない…。しかし途中展開されるカニバリズム論、ラストになってこの長いカニバリズム論が与える効果は絶大です

ホワイダニットに焦点をあて、さらに驚きの結末が待っています。「法月綸太郎の冒険」(講談社文庫)収録作。
「藤枝邸の完全なる密室」/東川篤哉
探偵・鵜飼のシリーズ。
話の主人公は資産家の叔父・藤枝喜一郎を持つ甥っ子・修作。修作はあるきっかけによって遺産目的で叔父の殺害を実行する。
完全な密室を作り上げた修作。筋書は完璧、これで自殺に見せかけられる――そう思った矢先に突然登場した男・鵜飼。
彼と一緒に遺体の第一発見者となった修作。はたしてどうなる?
いわゆる倒叙ものですね。途中の密室についての話がラストに効果を与えています。ドタバタした雰囲気でどこかコメディらしく、読みやすい。では「どんでん返し」はというと…ラストには思わず苦笑いしちゃいます。「はやく名探偵になりたい」(光文社文庫)収録作。
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どの作品もそれぞれの作家らしさの出たラストで面白いです

色んなジャンルの「どんでん返し」が詰まったアンソロジーなので飽きることなくさくさく読めるかと思います。
興味ありましたらぜひに。
では本日はこのへんで


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