SCISSOR MAN
こんにちは


今回紹介するのは殊能将之の「ハサミ男」です。
デビュー作であり、第13回メフィスト賞受賞作です

この「ハサミ男」で衝撃のデビューを果たした殊能将之ですが、2013年にお亡くなりになっています。まだ若い。
もっともっとこの人の作品を読みたかったなあ、と彼の作品を読み返すたびに思います。どの作品も抜群に面白いです。
名探偵の石動戯作シリーズはもちろん、ついこの間出版された未収録短篇集とか、またいつかの機会に紹介したいですね!
ではとりあえずこの「ハサミ男」。あらすじの紹介といきましょう。
(事前情報ゼロで読むのもかなり面白いと思います。その場合はUターンして書店へGO

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女子高生を殺害し、その首に研ぎ澄ましたハサミを突き立てる猟奇的な殺人犯「ハサミ男」。
語り手である「わたし」=「ハサミ男」は2人の女子高生を殺害したのち、3人目のターゲットを「樽宮由紀子」に狙いを定め、その計画を綿密に進行させていた。
決行の日の夜、「わたし」はなんと樽宮由紀子の死体を公園で発見してしまう。
しかもその手口は「わたし」=「ハサミ男」の手口とそっくりであった!
「わたし」はその場から逃走を試みるもあえなく第一発見者として警察の事情聴取を受けることに。
念のため「わたし」は近くの芝生に由紀子の殺害時に使う予定だったハサミを投げ捨てたが…。
なぜ自分以外に由紀子を殺害する理由のある人間がいるのか。
なぜ「ハサミ男」の手口を真似た犯行が行われたのか。
マスコミが「ハサミ男三番目の被害者」と騒ぐ中、当の「ハサミ男」は真相を知るために事件を調べ始める―――
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「ハサミ男」側、そして捜査にあたる警察である磯部刑事側からの視点で交互語られ、物語は進んでいきます。
「ハサミ男」は精神を病んでいるのですが、そのハサミ男側の視点に登場する「医師」、これがなかなかのキーになっています。
ハサミ男視点だとなんだか現実と妄想の狭間にいるようなそんな不安定な心地がしつつ、なんだか始終うっすら”違和感”がついまといます。この”違和感”はどう関係してくるのか?読み進める手がとまりません…!
あるひとつの真相が見えてきますが、気づくひとは気づくと思います

わたしも読み進めるうちにぼんやり「そうじゃないかなー」と推測はできたのですがこの話、そんなもんでは終わりません。
ラストがこわい。本当にこわい。もうラストにかけては驚きの連続です。なんというか「えっ!?」っていう新鮮な驚き、というよりもしてやられた…って感じの…。
緻密に張り巡らされた伏線に精巧なトリックと無駄のない文章、展開のさせ方がうまいです。
読書の秋のお伴にいかがでしょうか?
それでは本日はこのへんで

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